家族が知っている情報は診察でとても大事です
病院へは皆さん、調子の悪いときに行きますよね。
つまり、医療者ははじめは調子の悪い状態の患者さんしか知りません。
健康なときの状態を知らないのです。
一見、元気がないように見える。
活気が乏しいように感じる。
でも、本来のその人もそれほどエネルギーが高いわけではないかもしれない。
つまり、治療を通じて患者さんが戻る状態を知っているのは、普段から一緒に生活するご家族の方だけなのです。
ですから、健康なときは、どのような状態だったかを家族の方が主治医に教えてあげることが大切となります。そうしないと、主治医も治療のゴールを見誤るかもしれません。
以前と変わった点はどのようなところか
いつぐらいから様子が気になりだしたか
何か体調に影響した出来事があったか
病気になった当事者は、客観的に自分の状態を伝えることが難しい状態にあります。
普段の様子は家族しか知らない、とても大切な情報です。
それを医師に伝えてあげることがすばらしいサポートになります。
家族の不調に気づいたら・・・
家族の不調が気になったときにどうするか。
どこに受診(相談)したらよいか…
悩みますよね。
心身に不調を感じておられる当事者の方、それに気づいた家族の方や身近な方から相談を受けることがあります。
とても難しい相談だと思っています。
丁寧に診察してくださる先生のところならば、早めの受診をお勧めします。
ただ、そうではない先生もいるので難しく思うのです。
お薬だけ出して、はいおしまいの診察は減っていると願いたいですが、以前いたそういう先生たちは今もいるはずなのでゼロではないと思います。
自分に合う医者の選び方というのも、ネットにいろいろと情報が出ているので、参考になるものもあるかと思います。ある先生は、医者の選び方として1度では判断が難しいこともあるので、3回受診して合わないと思ったら病院を変えることを提案しています。
病院やクリニックを受診する前に、お住まいの地域の保健センターなどに相談してみるのも手だと思います。そういった施設は地域の医療機関とも連携をしているはずなので、各医療機関の評判を見聞きしているはずです。そこで、通院できる範囲を伝えて、紹介してもらうこともできると思います。
初めて受診したときのポイントとしては、現在の症状や生活の状態、これまでの生活歴など丁寧に診察してくださる先生は、心身の不調にどんなことが影響しているかきちんと考えていこうとする姿勢があると思います。先生自らでなくても他の医療スタッフが診察前にそのような問診をしているところもあるかと思います。
初めての受診が5分ぐらいで終わってしまう診察では、残念ですがそこはお勧めできません。またはじめからお薬を数種類重ねて出してくる先生もあまりお勧めができません。
一緒に通院できるのであれば、ご家族の方も一緒に行ってみるとよいかと思います。
受診前に本人の様子がいつもと違うと感じる点をメモして、それを診察の中でお話してみるとよいです。診察場面になると緊張して話したいことを伝えられず、診察後に思い出すこともありますから。
また、電話予約したときの印象やそこで働くスタッフの雰囲気というのも大事な判断材料かと思います。
【ごあいさつ】このブログの願い
家族や大切な人の様子がおかしい……
うつ病なのではないか……
どうしたらいいの?
病院に行ったほうがいいの?
何がしてあげられるの?
こころの病気は誰しもなりうるものです。
ネットで検索すると様々な情報が溢れていますよね。
便利になった反面、自分にピンポイントで必要な情報を判断することが難しくもあります。
私は精神科の病院で働く臨床心理士です。
こころの病気で辛い体験をされている方の支援を始めて10年ぐらいが経ちます。
医療では病気で苦しむ当事者の方には様々な支援の体制が考えられていく一方で、当事者の方を最も身近で支えるご家族の皆さまには十分とはいえない現状があるかと思います。
「ご家族や身近で支えている方に、少しでも役立つ情報をお届けしたい」
それがこのブログの願いです。
精神科医療の実情なども踏まえて、特別なことではなく、なるべく皆さまの生活に沿ったことをお伝えできればと思っています。それが皆さまの判断や行動に役立てば嬉しく思います。